iPhone7は2016年9月発売のモデルですが、3年近く経ったいまでもサブブランドやMVNOでは現役モデルとして販売中です。そんなiPhone7が登場した時にうたわれたメリットは防水機能とSuica対応でした。そのiPhone7の防水機能について解説します。
iPhone7は2016年9月に登場したモデルです。前機種のiPhone 6/6 Plusに対して、防水機能とSuica対応という大きな進化を遂げたことから人気を呼びました。特に通勤・通学の際の雨中や、帰宅後のお風呂の中でのスマホ利用の需要の高い日本では、防水機能を備えたiPhone7が高く評価されました。
こうした高評価に加え、その後のiPhone、なかでもiPhone Xシリーズの価格が高騰したことにより、最新のiOSでも利用できる低価格のiPhoneが、特にキャリアのサブブランドや格安SIMのMVNO業者で求められたことから、2019年6月現在も現役モデルとして販売され人気を呼んでいます。
しかし、iPhone7の防水性能は完璧なものではありません。そのため、iPhone7の防水性能を過信してiPhone7を水没させてしまい、保証が利かずに高額の修理費用を負担するはめになった例も少なくありません。そこで、今回はiPhone7の防水性能の実態と、水没時の対処法、さらには水没を避けるための防水カバーについて説明します。
iPhone7は防水をうたってはいますが、先に触れたように、いついかなるときでも水に対して100%の保護を保証するものではありません。あくまでも、ある一定の範囲内での水に対する保証でしかなく、一般に考えられる海やプールの中で使っても大丈夫という「完全防水」からはほど遠いのが実情です。
一般には国際電気標準会議(IEC)や日本工業規格(JIS)によって、電気機器の内部へ侵入する異物への保護性能に対してIPコードという規格が定められています。「IP●▲」という表記のこのコードは、「●」の部分で防じんの、「▲」の部分で防水の、それぞれ保護等級を表します。
この防水の保護等級については以下のように定められています。
そうなると気になるのが、iPhone7の防水性能の程度です。IP67をうたうiPhone7ですが、耐水性能を表す後半の数字、IPX7は、最大水深1mで最大30分間までの耐水性能にしか過ぎません。もちろん前機種のiPhone6に比べ耐水・防沫性能は向上していますし、この性能はiPhone8、iPhone X、iPhone XRでも変わりありません。
ただし、現行の最上位機種であるiPhone XS/XS Maxは、IP68とさらに耐水・防沫性能がアップしています。とはいえ、IPX8はIPコードで最大級の防水レベルですが、それでも最大水深2mで最大30分間の水没に対しての保証でしかありません。IP68の保証範囲も「完全防水」にはほど遠く、iPhone7の防水性能が見劣りするというほどではありません。
それでは、実際にiPhone7はどの程度までも水濡れに耐えられるのかを確認します。Appleのサポートページでは、一般的な飲み物を誤ってこぼした程度なら、軽く水道水ですすいで拭いて乾かせば問題ないと記されています。しかし、以下に記す行為では水濡れによる損傷が発生する可能性があるとしています。
しかも、IP67の防塵・防水性能は永遠に保証されるものではなく、使用するにつれて低下していくものと明記されています。
また、「奨励される範囲」の「温度・湿度」とは、温度15~35℃、湿度25~75%とされています。したがって、のちほどくわしく説明しますが、40℃のお湯が満たされた湯船に落としたり、湿度の高い浴室でiPhone7を使用したりすることは、かなり危険性の高い行為であると言えます。
以上を踏まえて、水濡れの可能性のある現実の場面に則して、iPhone7の防水性能を見ていきます。
iPhone7の耐水性能は、一般的な雨で濡れる程度なら問題にはなりません。防水の保護等級では、iPhone7のIP67の一つ前のIPX6の段階で「暴噴流に対する保護」を設定しています。そのため、普通の雨どころか強い雨や台風レベルであってもiPhone7は防水性能を発揮します。
ただし、それは雨の降る中や台風の中にiPhone7を放っておいても問題がないという意味ではありません。たとえば、台風が来た際にiPhone7を外に一晩置き忘れてしまった場合などに、iPhone7の動作を保証するほどの完全防水ではありません。あくまでも常識的な範囲での雨の中での使用であることを忘れないでください。
トイレの水に落とした程度であれば、しっかりとiPhone7の防水機能が働きます。前述のようにIP67は水深1mに30分の水没に耐えられます。トイレの水深はそれよりもずっと浅いので、水圧は弱くiPhone7の内部に浸水する可能性はほぼないと思って間違いありません。
ただし、水深が浅いということはiPhone7を落とした時点で水がその衝撃を和らげてはくれないということです。したがって、iPhone7がトイレの陶器にぶつかることで衝撃を受けて、隙間や亀裂が生じてしまい、そこから浸水する場合もありえます。まずはiPhone7の電源を落として、軽く洗った後、十分乾かせてから電源を投入してください。
お風呂を洗おうとして、湯船に張ってあった残り湯にiPhone7を落とした程度なら、iPhone7は完全防水です。お風呂は水深1mもありませんし、トイレよりは水が深く張られますから陶器やステンレス、檜などに強くぶつかることも考えずに済むからです。しかし、そのことは入浴時にお風呂へのiPhone7の持ち込みを推すことにはなりません。
お風呂に入っているときのiPhone7は、前に記したように「奨励される範囲」を逸脱した環境に置かれます。お風呂の熱と湿気は推奨範囲の15~35℃、湿度25~75%を逸脱しますし、お風呂の中でiPhone7に掛かる水には、石鹸やシャンプーといった洗剤の影響、入浴剤やバスソルトによる化学変化といった問題があります。
このように、お風呂はiPhone7にとって十分な防水性能を発揮できるとは言えない、過酷な環境なのです。自分ではiPhone7を濡らさないように使っているつもりであっても、iPhone7に不都合が生じ、安くはない修理代金を払うことにもなりかねません。たとえ湯船に水没しなくても、お風呂でのiPhone7の使用は避ける方が無難です。
プールでのiPhone7の防水性能は、お風呂での使用よりはマシかもしれません。水深は1mを超えますが、水深1mを超えた途端に水圧でiPhone7が浸水するほどではなく、プールに落としてすぐに拾うのであれば、一般的なレジャー用プールでの水没はさほど怖くありません。お風呂と違い、温度も奨励範囲ですし、塩素の濃度もそこまでは濃くありませんから。
むしろ問題になるのは、プールサイドでiPhone7を落として傷を付けたり隙間を生じさせたりすることです。たとえiPhone7がその段階では動作していたとしても、その段階で防水性能は大きく劣化します。その状態のiPhone7をプールに落としてしまうと、防水機能が働かずに浸水から故障に至る可能性が増大します。
以上の点を総合すると、プールでのiPhone7の使用もあまりおすすめできないことになります。
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